【無知の自覚】

 人間ごときには、完全なる知にいたることは難しい。しかし、〈知〉でも〈無知〉ではなく、正しい〈思いドクサ〉が無知と知の中間にある。つまり、知らないのに知っていると思っていることこそ、〈無知〉なのであり、これは肉体の牢獄に閉じ込められている状態である。だが、知らないことを知ること、そして、知ることを求めること、これは無知にまさることであり、この活動こそ《哲学》に他ならない。

 つまり、現世的な浅はかで小賢しい知識にまみれ、知っているという間違った思い込みにひたっているではなく、そのような知識が虚妄にすぎないと知り、無知を自覚して魂を浄化し、さらに、正しい知恵を思い浮べようとして、魂を天上界へと向けてこそ、死して後、魂は天上界に帰ることもできるのであり、我々はこのような哲学的努力を怠ってはならないである。