【水 hydor】)

タレス(アリストテレス形而上学』Α-3)

 〈水〉こそが万物の〈アルケー(始源)〉である。というのは、すべてのものの養分が水気のあるものであり、すべてのものがそれから生成するものこそが、すべてのものの始元であるからである。また、すべての種子にも水気があり、このように、水気のあるものの原理は水なのである。

 彼は「水が最善である」と言ったのであって、しばしば哲学史の解説に見られるように、彼が、万物が水からできている、〈水〉が根本質料である、と考えたとするのは誤解であろう。つまり、彼は、多くの物質の中でも特に〈水〉こそが、他のさまざまな物質を変化発展させる原動力、養力を最も強く持つものである、と考えたと言うべきだろう。



 (プラトン『テアイテトス』)

 ソクラテスは哲学における自分の役割を、自分の母の仕事である産婆にたとえた。すなわち、第1に、自分には知恵を産む力がないこと、第2に、人の精神に宿った知恵を安定・促進させること、第3に、仲人として相応しい教師を紹介すること、第4に、産れた知恵が育てるに値するか否かを判断すること、である。つまり、ソフィストのように知識を授けるのではなく、相手が自ら知恵を産むように導くのであり、これ方法が《問答法 dialektike》なのである。